僕の代わりにホーチミンの部屋の引越しをして欲しい。その4

ベトナム生活

しんちゃお。

今日は珍しく雨のないベトナムからくろまめです。

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僕の代わりにホーチミンの部屋の引越しをして欲しい。

1度会ったきりのオットの同僚に頼まれてホーチミンで本人不在の引越しをすることになったくろまめ。
ミッションはふたつ。

部屋から荷物を運び出す。

駐輪場からバイクを移動させる。

両方の移動先はもちろんくろまめんち。
これを2日に分けて実行する。

持って帰る荷物をおおむね片づけ終わり、駐輪場からバイクに乗って出ようとしたら出口のゲートを開けてもらえず、受付に行くように言われたくろまめ。

前回の話はコチラ↓

僕の代わりにホーチミンの部屋の引越しをして欲しい。その3
しんちゃお。 今日は珍しく雨のないベトナムからくろまめです。 僕の代わりにホーチミンの部屋の引越しをして欲しい。 ...

 

汗だくで地下2階の元の場所までバイクを戻して、受付のある1階ロビーに戻ったら肝心かなめの受付嬢がいなくなってた。

受付カウンターが空っぽ?なぜ?
嬢はどこ行った???

きょろきょろしていたら、今朝、ロビーに入れてくれた玄関警備員がやってきた。

受付嬢は不在、ランチタイムは1時間半。

「受付はいないよ。」

え?

(もう1回)え?

おじさん「受付嬢はランチタイムだ」

「え?」

何回聞く気やねん!

そして
「彼女のランチタイムは1時間半だから14時にまた来てくれ」と言った。

!!!!!

ぬっ!じゅ、14時まで???
なんてこった!(;゚Д゚)
受付って空白の時間があるのか。

いやぁ…マジで???(もう1回聞いちゃった。)

おじ「YES!りありい。」

T本さんくろまめに言ったよね?

  1. バイクは特徴のあるものでしたよね。くろまめが運転して出ようとして出してもらえない可能性があるのでは?
    →大丈夫。未納の電気水道代と駐輪代を支払ってもらえたら出せます。

 へえ、出せるってか。

あん?出せるのね?

おじさんはがっくりうなだれるくろまめを見下ろして、慰めるように言った。
「あそこでランチして来いよ、あの店ぐっどだよ。」と道路の方を指さした。

建物の向かいにあるその大きなレストランにはオットと2人で1度行ったことがある。
水槽や個室もあって庭もある大きなレストランだった。
でも、いまはひとり倹約生活のくろまめにとって行くべきところではない。
しかもこんな引越しの最中の薄汚れた姿で、ミッションも中途半端なのに

ランチして気分晴れやかーっ!てなるかや!

受付嬢がランチで不在の間を過ごせるお店を探す。

しかたなく嬢のランチタイムの間、1時間半のあいだ休める涼しいお店を探すことにした。
T本さんの部屋は休むには暑すぎる。

しかしいつから電気止まってるんだろうな…。

炎天下の中を日傘もささずに歩く。
この周辺の歩道もやっぱりがれきが多いなぁ。
ベトナムはもう少し歩道をちゃんとしたらいいのに。
野良犬もいる。

スマホで天気予報アプリを開く。
気温は体感42度を指し、紫外線は極限とあった。


あたまがくらくらする。ふぅ、なんだろこれ。

休憩ができそうな手ごろなベーカリーカフェを見つける。

ぐちゃぐちゃの歩道をしばらく歩いた角にベーカリーカフェと書いた小さな店があった。
何も考えてなかったけど、おなかも空いた。
見た感じ手ごろな店のようだし、店内のお客さんも少なかったので中に入ってみることにする。

カウンターの中で学生のような若い女の子二人が「しんちゃお」と言った。
レジ前に木製のパンの箱があった。
どれどれ。
レジの方に近づいていって見たらパンの箱は見事に全部空だった。

え?

ただのひとつもパンがないの?売り切れなの?
わけわかんない。
ほんとにひとつもパンのないベーカリーカフェなの?
箱を指さすと二人の女子は首を振った。
ほんとにパンの無いベーカリーカフェか。
 チッ
12時台にパンのないカフェはベーカリーの看板をはおろしたほうが良い。
実に紛らわしい。

外に出て他に店がないか探す。
日差しがまぶしい。
周りには車のディーラー、歩道橋、公園、見渡す限りに飲食店がない。
屋台すら出ていない。

さっきのレストランに戻るのもしゃくだ。
ビルの反対側にまわってみたらコンビニがあった。

お店に入ると涼しい。
イートインコーナーもあって、学生が集まって食事をしていた。
空いているスペースは無かった。
仕方なく90円のサンドイッチを1個買って店を出る。

日本に住んでいる人なら日本のコンビニのサンドイッチを想像したかも知れない。
でも、そんな美味しいものは海外のコンビニには売ってない。
新しく入荷した商品を表側から並べていく。
小さく印字された賞味期限をしっかり見ないと買ったときにはすでに賞味期限が切れていることもある。

(日本のコンビニ=“神”なのに店員さんに文句言うおやぢは東南アジアの辺境の地にでも放り投げればよい。)

自分は疲れてるのか腹を立ているのかわからなかった。

パンのないベーカリーカフェで2時間を過ごす。

どんなふうに見ても美味しそうに見えないサンドイッチを手にベーカリーカフェに戻ってコーヒーを注文した。
これ日本ならご法度だけど、ベトナムのカフェは食べ物を扱っていなければ他で買ったものを持ち込むことができる。
普段コーヒーは好まないけど、残念ながらベトナムでは温かいお茶類を飲む習慣がない。
アイスティーはすでに砂糖入り。甘さも調整できないことが多い。
コンビニで売ってるお茶も砂糖入りが多いし、こっちでは砂糖スプーン4杯がデフォルトらしい。
恐ろしい甘さ、ぶるっ。

注文したコーヒーは出てくるまでに謎に15分かかった。
水分が無いのに飲み込むサンドイッチのむなしさよ。
すっかり食べ物がなくなってから飲むほろ苦いコーヒーよ。

はぁ、今日はツイてないなぁ。
全部、心配したとおりになってる。
でも公安警察呼ばれなかっただけでもマシなのかな。
マシなんだよね?
そう思うことにしよう。

突然嵐に見舞われて戻れなくなる。

スマホを出すような心のゆとりもないままボーとしていたら、外ではいつの間にか激しい雨が降り出していてびっくりした。
店内の2人しかいないお客さんのうち、ひとりの学生が立ち上がって外を指さし、なにか言った。
窓の外は大粒の雨が勢いよく降っていて、向かいの道路が見えないほど真っ白になっていった。

ひっ!まずい。。非常にまずい。
このスコールはの強さだと1時間は上がらないだろう。

アメダスで調べてみよう。
スマホを見たら強い雨は夜7時まで続くと表示されていた。

えーーー。終わった。。。完全に終わった。こりゃダメだ。
かろうじて見える路面には水があふれていた。
雨が降るとすぐに冠水してしまうホーチミンの町。
バイクで移動できるわけがない。

溜息がもれる。
空気の無駄遣い。
ツイてないうえに雨にまで降られるなんて。

T本さんにメッセージを送る。

「ご心配かけていると思います。

受付嬢がランチタイムなので外に出ましたが、嵐になりました。
しばらく動けそうにありません。」

 

T本さんからの返信

 

「バイクのシート下にカッパが入ってますよ~!」

…。

…。

 

はぁ?

くろまめ、思わずスマホをぶん投げそうになった。
こんちくしょうめ。
この恨みは絶対晴らしてやる。(どこで?笑)

自分で引き受けておきながらT本さんへの恨みがふつふつとわいてくる。

空白の2時間を過ごしたあと受付嬢のもとへ。

やっと歩ける程度に雨が小降りになったのは15時をまわっていた。
2時間ほどもベーカリーのないカフェにいたことになる。

スマホの電池も減ってきた。
少しくらい濡れてもマンションに戻ろうか。

受付嬢に丁寧にお願いして、駐輪場の警備員にゲートを開けてもらえるように同行してもらおう。
もしもそれがダメだったら、バイクの駐輪情報をこの手持ちのスペアカードキーに登録してもらおう。

そうすればバイクは出せるようになる。
そうすれば予定通りバイクを家まで移動できる。

この時までくろまめもそう思い込んでいた。
超絶能天気だったとしか言いようがない。

まさにこの時まで。

ちょっといったん頭の中を整理してみよう。

✔部屋の契約者のT本さんはコロナでやむなく日本に帰国してしまっている。
✔いまは国際線が飛んでないので帰って来たくても帰っては来られない。
✔日本にいるT本さんがマスターカードキーを持っている。
✔くろまめの手元にあるスペアカードキーにはバイクの駐輪情報が登録されていない。
✔くろまめは遠くからタクシーでやって来て、引越し代行をしている。

これを丁寧に説明すれば

  • 受付嬢の裁量で「通してあげて」とゲートの警備員に連絡してくれる。

または、

  • 受付嬢がくろまめが手にしているスペアカードキーに駐輪情報を登録してくれる。

どちらかの方法をしてくれるだろう。
よし戻ろう。

交渉さえすれば叶うと思い込んでいた。

水たまりを避けてぐちゃぐちゃの歩道を歩いて戻ったら、靴は泥水が染みて茶色くなっていた。
チッ。

手にしたスペアカードキーでロビーに入る。

するとロビーには床のクリーニング業者が10人ほど集まって大きな機械をまわして、おおがかりにロビーを清掃していた。
大理石の床が信じられないほど滑る。

慎重に受付カウンターまで進んで受付嬢に声をかける。
機械の爆音のせいで大きい声で話してもぜんぜん相手に届かない。

受付嬢に駐輪場のゲートを通れなかったことを伝えた。
そして出してくれるようにお願いする。

目をそらした受付嬢は即答した。

「No!」

「え?(動揺)」

「もしもゲートが開けられないならスペアカードキーに情報を入れて欲しい。」

「No!情報はマスターカードキーに入ってる。」

「でもそれは手元にないの。」

お願いはすべてことごとく拒否される。

午前中に比べるとあきらかに受付嬢の顔つきも変わっている。
「じゃあ、ムリ。わたしは英語が分からない。トランスレート使ってベトナム語にして。」

「わかった、ごめんね。」

受付嬢も朝からのやり取りで疲れてきてる。そうだよね?
本当に申し訳ない。
くろまめも疲れた…。

それでもオーナーに電話して了解をとって欲しいとお願いしたら
彼女は一旦オーナーに電話をしてくれた。
随分と長いこと話し込んでいる。

受付に用事のある人が次々に訪れる。

つるつる滑る床の上で辛抱強く待っていた。

電話をしたまま彼女はくろまめを見て首を振った。
オーナーは相当彼女に愚痴ってるようで電話が終わらない。

「遠くから来ていて手ぶらでは帰れない、お願い。」

首を降る。
「ダメな理由を教えて欲しい。」
「本人じゃないし、マスターキーカードがない。」

「それは日本にいる本人が持ってるの。」

「カード番号もわからないでしょ。」

「このスペアカードの番号の続き番号よね?」

「知らない…。」

マスターキーはベトナムに無いことが分かっていながら彼女がそう言うのには、おそらくオーナーにそういわれているのだろう。
通話も15分ほどになっていた。

「オーケイ。では本人にマスターカードキーの写真を送ってもらうね。」

「ええ、そうして。」

くろまめはT本さんに電話して、マスターカードキーの写真を撮って送って欲しいと言った。
しかしT本さんからは耳を疑うような言葉が返ってきた。

 

予想外!マスターカードキーは僕の手元にないんです。

「えー写真ですか…。実はマスターカードキーはいま僕の手元にないんですよ。」

ぽっかーん

「ん?いまなんと?」
ちょっと何言ってるのか分からない。←サンドイッチマン?
ここ最近で一番びっくりした答え!

「実は実家においてあって。。。」
ちょちょちょ!
実家ってどこなのよ?
実家は飛行機に乗っていくほどの遠い場所で、しかも今は誰も住んでないと言う。
なんでキーをわざわざ実家に?
くろまめはそのとき「いますぐ取ってこーい!」と叫びたかった。
もちろん本心だよ。

奥さんならわかるよね、この気持ち?

もうだめだ。
このミッションは果たせないよ。本人がこんなんじゃ。
いくらくろまめが頑張ったって。
いくら受付嬢が頑張ってくれたって、ムリ。

衝撃的!

完全にやる気なくして、今なうメーターゼロになったわ。


白目、終了。

 

くろまめがT本さんの返事にイラついてる間に受付嬢はいつの間にか電話を終えていた。
「オーナーはなんて言ってるの?」

「あなたの持ってるカードキーには駐輪情報が入っていない。」

「そう確かに駐輪情報は入ってない。でもそれを持っていない私が今日、未納の駐輪代を支払ったのよ。」

「ぐっ…でもあなたは本人じゃないし、身分がはっきりしない。」

「オーケー、身分なら証明できる。はいパスポート。コピーしてもいいわよ。」
「なんならライセンスカードもあるけど見る?」
「誓約書があればサインもするわよ。」

「うーん。」と言いながら彼女は後ろの引き出しを開けて、クリアファイルから誓約書のひな型のようなA4の紙を出してきた。
ベトナム語と英語が3行くらいずつ書かれている書類。
英語の部分を読んで問題なさそうだったので一番下にサインする。

「ここまで私が身分を証明するから、オーナーにもう一度だけ電話して了解取ってもらえない?」

「OK、わかった。」

彼女はもう一度オーナーに電話してくれた。
今度はすぐに電話は終わった。

「オーナーの返答はカード番号が分からないからダメだって。」

ダメな理由が
本人じゃないから→カード持ってないから→カード番号がわからないから、と変わる。
なんとなくオーナーの意図するところが見えてきた。

どうしてもオーナーがうんと言わずにここまで所要時間1時間以上。

家賃が滞っているわけでもなく、未納の料金も全部払った。
契約者本人であるT本さんからオーナーには今日のことについて何度も連絡している。

このミッションを引き受けるときに聞いた話だと
T本さんが入居して1年が経過した契約更新時にオーナーは勝手にエージェントを外して直契約になったそうだ。
この契約更新はT本さんがオーナーに不信感を抱いたきっかけになった。

仲介者がいない賃貸契約は借りる人にとってリスクが大きい。
備品や設備が故障したときや契約更新の際の家賃交渉など、よほど良心的なオーナーでない限り、争いのもとになる。
オーナーは本来、契約更新の際もエージェントに1か月分家賃の手数料を払わなければならない。でも払いたくない。
エージェントとしては自分が見つけてきた収入の元となる入居者をオーナーの都合で取り上げられることになる。
しかしこのオーナーは勝手にエージェントを外して契約更新を済ませたらしい。

海外に住んでいると、このエージェントとオーナーとの関係性はとても重要だ。
オーナーに柔軟性があって、エージェントが親身になって良く動いてくれる人なら心強い。
我が家の場合、ベトナムの賃貸契約で信頼できるエージェントがついてくれたのでオットが留守でも、ある意味安心できてる。

この交渉だって本来は受付嬢が仲介することではなく、エージェントが中に入って処理するべきことだ。

でも…。なにか違和感を感じる。
こちら側の問題じゃなく、オーナーと息子さんとの関係性なのだろうか。
バイクを出すことにだけ、なぜオーナーはこんなにかたくななんだろう?

くろまめもミッションと思って粘ってはいるけど、自分のことがほとほと嫌になってくる。
ルールがある以上、受付嬢だって仕事を遂行しているに過ぎない。
それをムリを言って曲げさせようとしている自分はいったい何様なんだろう。
彼女にはほかの仕事だってあるだろう。

 

くろまめ粘り負けして撤退を決める。

駐輪場にバイクを置いたままではT本さんはこのままずっと部屋を解約することができない。

いくら部屋を綺麗にして荷物を外に出したところで部屋を解約できないのであれば、くろまめがここに来た意味もない。

しかし1時間半たったところでくろまめは撤退することを決めた。
これ以上彼女を困らせていいわけがない。

くろまめもすでに燃料切れしてたけど、とにかく部屋に戻ろうと思った。

頑ななオーナーとマスターキーを持っていないT本さん。
困り顔の受付嬢、汗まみれのくろまめ。

しかし
よく言うじゃないか。
押しても駄目ならひいてみなってさ。

さあ、今日はもう帰ろう!

帰るしかない!

 

くろまめ

 

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